表具・表装とは
書や絵画を紙や布で裏打ちをし、鑑賞及び保存に適した状態に仕立てることを「表具」または「表装」といいます。古くは「表補衣(ひょうほえ)」などといい、「表具・表装」という表現は安土桃山時代以降に使われ始めたようです。代表的なものとしては掛軸や欄間額、屏風などで、他に衝立や巻物、襖や画帖などがあります。当店では表装・表具、また古物の修復・仕立て直しを行っております。ご予算に応じてご提案致します。お気軽にご相談下さい。
※書道や水墨画の作品展向けの表具・表装も行っております。ぜひ一度ご相談下さい。
■掛軸
掛軸の主な表装例
三段表装
表装の中では最も一般的な形式で、仏事以外の画題であれば、ほぼこの形式で表装出来ます。
三段表装の中にも格式の違いがあり、格の高いものには、神事に使用される「神官仕立て」があります。
丸表装
上から下まで同じ裂地で表装した中国伝来の表装形式です。シンプルな仕立てで、あらゆる画題に合います。
また作品の丈が長いものにもこの表装を行います。作品の丈が長いものを三段表装に仕立てると、
長くなりすぎて床の間に掛けられない場合があるためです。
書道の半切サイズは丈が長いので、この形式が用いられます。
モダン表装
上図はモダン軸装の一例です。従来の形式にとらわれない、全く自由な表装です。
現代風の書画作品や、また和室の床の間など、本来掛軸を掛けるための場所がないご家庭にもマッチします。
その他の表装例
明朝表装
上から下まで同じ裂地で表装した中国伝来の表装形式です。
元々は南画(南宋画)とよばれる技法で描かれた作品の表装形式でした。
作品の周囲に筋を廻し、両外側に細く裂地を付けるのが特徴です。
仏表装(仏表具)
仏教関係に用いられる表装形式です。表装の中でも格式の高い形態で、幾つかの仕様があります。
書画の内容によっては、宗派ごとに異なる裂地を使用します。
茶掛け
輪補(りんぽ)とも呼ばれ、その名の通りお茶の席の掛軸に用いられる表装形式です。
作品としては、主に禅僧の墨蹟や文化人の画賛などが好まれてきました。
作品横の裂地部分の幅が極端に狭いのが特徴です。
※上記掛軸の説明については、出来るだけわかり易くとの観点から専門用語を使用せず、
※また詳しい説明は省略しています。
■扁額・欄間額
和室の天井近くの欄間の部分に飾ってある横長の額縁を「扁額」または「欄間額」と呼びます。
扁額の額装には下図のように幾つかの仕様があります。古い扁額は画面がむき出しで
作品が傷みやすかったため、近年では作品保護のためにアクリルを入れます。
※一般的なガラスは重くて割れ易く、UVカット効果が無いのでお薦めしません。
※作品保存についてはこちらをご覧下さい。
①ベタ
下地(格子状に組んだ木枠)に和紙や裂地をはり、作品を掛軸のように表装し、額縁を付けます。
古い書画作品はほとんどがこの仕様で仕立てられており、仕立て直し(修復)後は作品保護のため
アクリルを入れることをおすすめします。
②落とし
作品を下地にはり込み、その上から作品の大きさに合わせ窓をくり抜いた「マット」をあてて
額装します。マットは作品とアクリルが直接触れることを防ぎ、また作品に奥行きが出来るので、
少し豪華に見えます。この仕様は通常の額装(扁額や表装技術を用いない)でも可能なため、
作品展等で多く使用されます。
③浮き出し
額縁を高くして下地とのあいだに深みを作り、作品のみを別の下地にはり込んで取り付ける仕様です。
作品が浮き出して見え、立体感があります。モダンな書画作品によく似合います。
この仕様も通常の額装(扁額や表装技術を用いない)で可能なため、作品展等で多く使用されます。
※上記扁額の説明については、出来るだけわかり易くとの観点から専門用語を使用せず、
※また詳しい説明は省略しています。